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2022年4月5日火曜日

刑法短答:メモ直前用【随時更新】

・因果関係

甲が致死量の毒薬をVに飲ませる→事情を知らない乙がV死亡前に刺殺(即死)→甲が毒を盛った行為とV死亡の間には因果関係が「断絶される」

米兵ひき逃げ事件(甲が通行人を車で跳ね上げ、同乗者乙が屋根から突き落として転落、Vは衝突か転落か、どちらが原因か不明なくも膜下出血で死亡した)では、甲の衝突とV死亡には因果関係が「ない」

甲がVの求めに応じて覚醒剤をVに注射。甲は錯乱したVを放置して帰宅したところ、Vは覚醒剤中毒で死亡した。この場合に因果関係を肯定する要件:甲帰宅前に適切な治療を受けさせていれば「救命が合理的な疑いを超える程度に確実」←具体的には「十中八九救命可能」であること

被害者逃走事例:逃走して危険な場所に飛び込んだ結果死亡した場合、その逃走の原因となった暴行、恐怖感等から逃走の方法として「著しく不自然、不相当であった」といえる場合のみ因果関係を断絶する。(cf.高速道路侵入事件:長時間、執拗な暴行を受け、被告人らに対し極度の恐怖感を抱き、必死に逃走を図る過程でとっさにその……選択をした……→因果関係肯定)

熊撃ち事件:甲はVを熊と誤認して猟銃を発射、命中させ、放置すれば死に至る重症を負わせる。その後人間だと気づき、あえてもう一発命中させ死期を早めようと考え、銃殺した。→2発目の発射行為とV死亡の間に因果関係が「ある」。なお、第一発射には第二発射を殺人罪と取る前提で、業務上過失致傷罪を成立させる。

・不作為犯

不真正不作為犯の因果関係肯定には、期待された作為をしていれば結果が発生しなかったことが「合理的疑いを超える程度に確実」であったことが必要(因果関係\覚醒剤事件)

不作為の放火罪成立には「既発の火力による焼損を認容する意思」(×既発の火力を「利用する」意思)があれば足りる(炭火引火事件)

財産犯の不真正不作為犯はありまぁす(誤振込に気づいたものの、申告せず払い戻した行為について、不作為詐欺罪が成立する)

死体遺棄罪の不真正不作為犯もありまぁす(葬祭をする責務を負うものが死体を放置して立ち去る行為)

盗品等有償譲受罪は、盗品等である「かも知れない」と思いながら買うことで未必の故意を認定する。この認定は譲受時点で判断するため、後から盗品ではないと確信しても関係ない。

・被害者の同意

被害者の承諾がない状態で、承諾があると誤認して殺害した甲には、199が成立するものの、同意殺人罪の故意しかない。この場合、抽象的事実の錯誤となり、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い罪が成立する。両罪とも保護法益は人の生命身体である、侵害も生命に対する侵害という点で一致しているため、軽い同意殺人罪の限度で成立する。

追死の意思がないにもかかわらず、欺罔して追死すると誤信させ、Vを自殺させた場合、Vの同意は真意に沿わない重大な瑕疵があり無効であるため、同意のない殺人罪、すなわち199となる

特別公務員暴行陵虐罪の保護法益は公務の適正という国家法益であるため、被害者(というのが適切かわからないが、暴行の相手方)の承諾の有無に関わらず成立する。

・正当防衛

正当防衛に対する正当防衛は成立しない(急迫「不正」の侵害にあたらないため)

正当防衛として許される限度は、自己又は他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものである。すなわち、たまたま侵害行為の程度を反撃が超えたとしても、直ちに正当防衛を否定するものではない。

・責任能力、責任故意

心神耗弱/喪失→必要的減免(39-2)

心神喪失→精神の障害により+(事物の是非善悪を弁識する能力がない OR その弁識に従って行動する能力がない)

2022年3月12日土曜日

刑法各論 構成要件まとめ(随時更新)

おことわり:「若しくは」「又は」等は条文と異なる場合や、本稿内での表記ゆれがある可能性がありますが、その点は修正の予定がありません。また、「『殺し』た」等の表記をすべき場合にも「殺す」「殺した」等の表現をしており、条文引用として不正確な記述を含みます。この点も修正する気はありません。

採用している説が多数説や通説、判例とは限りません(原則判例>通説で採用していますが、答案上有利な説や、個人的に納得している説を採用している場合もあり)。網羅には基本刑法か条解でも読んでください。


・個人的法益に対する罪

ー生命に対する罪

199 殺人罪

保護法益:人の生命

①人を:自然人に限る、刑法では一部露出説を取る(民法と異なる)、胎児は含まない

②殺した:三徴候説(心肺停止、呼吸停止、瞳孔反射の喪失)


202前 自殺関与罪

①人を

②教唆しもしくは幇助して自殺させる

自殺関与罪の正当化、処罰根拠については深入りしない(自殺有罪説が説明しやすいと個人的には思うが)


202後 同意殺人罪

①人を

②その嘱託(=被殺者が殺害を依頼すること)を受けもしくはその承諾(=被殺者が殺害の申込みに同意すること)を得て殺す


212 (自己)堕胎罪

保護法益:胎児の生命+妊婦の生命身体

①妊娠中の女子が

②薬物を用い、またはその他の方法により

③堕胎(=胎児(=受精卵が母体に着床して以後、分娩期まで)を母体内で殺害、あるいは分娩期に先立って母体外へ排出すること(大判M44/Dec./08))した


213 同意堕胎罪/同意堕胎致死傷罪

①女子の嘱託(=女子が胎児の殺害や傷害を依頼すること)を受け、または承諾(=女子が胎児殺害や傷害の申込みに同意すること)を受け

②堕胎させた

(213 同意堕胎致死傷 ③よって女子を死傷させた):胎児の死亡は「堕胎」で表されるので、ここでの致死傷の客体は母体たる「女子」に限る


214 業務上堕胎罪/業務上堕胎致死傷罪

①医師、助産師、薬剤師または医薬品販売業者が

②女子の嘱託(=女子が胎児の殺害や傷害を依頼すること)を受け、または承諾(=女子が胎児殺害や傷害の申込みに同意すること)を受け

③堕胎させた

(214 同意堕胎致死傷 ④よって女子を死傷させた):胎児の死亡は「堕胎」で表されるので、ここでの致死傷の客体は母体たる「女子」に限る


215 不同意堕胎罪 / 216 不同意堕胎致死傷罪

①女子の嘱託(=女子が胎児の殺害や傷害を依頼すること)、または承諾(=女子が胎児殺害や傷害の申込みに同意すること)を「得ないで」

②堕胎させた

(216 ③よって女子を死傷させた)


217 (単純)遺棄罪 / 219 (単純)遺棄致死傷罪

保護法益:人の生命、身体(生命までは危害が及ばない場合を含むかは処罰範囲が広くなることから争いがあるが、傷害罪の後に置かれていること、法定刑が比較的軽いことから身体も含むとする説を採用する)

①老年、幼年、身体障害または疾病のために扶助を必要とする者を

②遺棄(=保護を要する者を保護のない状態に置くことにより、その生命身体を危険に晒す移置をいう:置き去りを含まない)した

(219 ③よって人を死傷させた)


218 保護責任者遺棄罪 / 219 保護責任者遺棄致死傷罪

①老年者、幼年者、身体障害者、または病者を(217/219と明確な差なし)

②保護する責任のある者(=要扶助者の生命身体に対する排他的支配を実質的根拠とし、親子でも法令上の親の監護義務(民820)から即認めることは避ける。救護の引受け等も排他的支配性から説明できる。ひき逃げ等の場合、一般道で普通に人が通るところならば「排他的支配性」が認められないため、救護義務違反にとどまって保護責任者遺棄は成立しない)

③遺棄(=保護を要する者を保護のない状態に置くことにより、その生命身体を危険に晒す移置に加え、置き去りも含む)し、またはその生存に必要な保護をしなかった(=場所的隔離をせずとも、生存に必要な保護をしないこと、間近にいて世話をしないこと)

    →遺棄について整理すると、218/219は「移置、置き去り、不保護」、217/219は「移置」である


ー身体に対する罪

208 暴行罪

保護法益:身体

①暴行(=人の身体に向けられた不法な有形力の行使、非接触の場合傷害の危険を有する行為(日本刀振り回し事例)、接触の場合傷害の危険は不要(:不快嫌悪の情を催させるに足りる行為(cf.塩まき事例)(福高判S46/Oct./11))を加え

②傷害するに至らなかった

~暴行罪に未遂がないことは注意、傷害罪の未遂としても機能することに注意


204 傷害罪 / 205 傷害致死罪

①人の身体を

②傷害(=生理機能傷害、頭髪事例を傷害罪とする完全性侵害説が有力反対説だが、判例上完全性を侵害するが、生理機能を傷害しないものは「暴行」)(=PTSD、長時間の意識障害も傷害結果として足りる)した

(205 ③よって人を死亡させた)

~暴行罪の結果的加重犯、未遂は暴行罪、暴行によらない傷害罪あり(詐称誘導による転落誘発、頻回の無言電話による鬱、奈良騒音事件(1つ1つは暴行とはいえない程度の騒音を出し続け、ついには睡眠障害に陥らせた)、性病の意図的な感染等)

~暴行によらない傷害罪の場合は「傷害の故意」が必要である(暴行罪にあたらないのだから、この場合だけは「暴行の結果的加重犯なので暴行の故意で足りる」が使えない


206 現場助勢罪(あんまりわかってない)

①傷害罪、傷害致死罪の犯罪が行われるにあたり

②現場において

③勢いを助けた


207 同時傷害特例

0 意思連絡なく(共犯との区別)

①2人以上で(=同時、あるいは時間的・場所的連続性ある場合)

②暴行を加えて

③人を傷害(=含:致死 除:殺人等傷害以外の罪)した場合

④それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、またはその傷害を生じさせた者を知ることができないとき

~同時犯だが共犯が取れないパターンでは検討必須。疑わしきは被告人の利益に→どちらが傷害結果を生じたか分からないときは2人とも暴行罪までとなってしまうため

~詳細は共犯周りの別ポストに譲る