601条(賃貸借)
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うこと及び引渡しを受けた物を契約が終了したときに返還することを約することによって、その効力を生ずる。
賃料支払請求権>要件:
1.
賃貸借契約の締結→目的物と賃料を具体的に特定すること(目的物をいくらで使用収益させるか、という内容の契約こそが賃貸借契約の本質であるから。なお、返還時期の合意は賃料請求には必須でなく、賃貸借契約の成立要件でもない[1]。)
2.
基づく引渡し(使用収益可能な状態にすることが本来必要であるが、一般的に引き渡せば使用収益が可能であるから、これで足りる。逆に、引き渡されたが使用収益が不可能であったことは抗弁となる)
3.
一定期間の経過(賃料は目的物を使用収益可能な状態においたことに対する対価[2]であるから、対価発生に足る期間の経過が必要であるし、目的物の引渡しは先履行となる)
4.
支払時期の到来
賃貸借契約~修理が必要な場合
① 修繕の必要を通知(615)[3]、修理請求(606-1)→修繕義務履行請求(606-2で拒否不能)→修繕しない→債務不履行解除OR賃借人修繕権+費用償還請求[4](607の2-x-1/-2→608-1)
←修繕不能/過大な費用負担が発生:修繕義務を負わない(②へ)
←賃借人の責めに帰すべき事由により生じた場合
←使用収益させる義務に含まれない場合(賃貸借契約中、設備と明記されてない形で置いてあったテレビなど)
② 使用収益不能による解除(611-2)<一部滅失、その他の事由で使用収益できなくなった場合において、残存部分では賃借人が賃借した目的を達することが出来ない場合[5]>
[1] 賃貸借契約は貸借型(ある期間借主に目的物を利用させることに特色がある契約)契約であって、その成立要件は冒頭規定(587、593、601)に規定された事実に限られる。なお、目的物返還請求の場合は契約が終了したことを主張立証する必要があるため、返還時期の合意の主張立証+到来の主張(顕著な事実なので立証不要)する必要はあるが、あくまで成立要件ではない。(新問研/大島民裁実務基礎説。異説あり。)
[2] この対価性は一部減失の場合の当然減額(改正民法)の根拠にもなる
[3] 逆に、修理が必要にもかかわらず通知しなかった場合に損害が発生すると、賃借人が債務不履行となり415の損害賠償責任を負う可能性がある
[4] 修繕権を認めないと、勝手にした修繕は616→594の用法遵守義務違反となり、賃借人が709債務不履行責任を負うことになる(答案上示すことはなさそう)
[5] 不動産賃貸借の場合の雨漏りなどは使用収益不能といえる。一方で、備付けのテレビが故障した場合程度では要検討(答案上は理由を明示してどちらに転んでも良い)
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