2022年3月22日火曜日

VTuberニュースレター:第2号

 VTuberニュースレター:第2号

 

2022127日(初稿執筆日、記事内容は1/27現在)

アンちゃん大好き高校すこん部

多摩 リン

 

2016年末のキズナアイのデビューに端を発し、2018年初頭に現在のANYCOLOR株式会社からにじさんじ最初のライバーとして月ノ美兎がデビュー。そのころより急激に増加の一途を辿るVTuberは、20211019日時点で16,000人を超えている[1]

本連載では、毎回3名のVTuberに焦点をあて、様々なVTuberを知るきっかけを提供したいと考えている。

今回は1名をANYCOLOR社「にじさんじ」系列[2]1名をCOVER社「ホロライブ」系列[3]からそれぞれ最推しを選んでしまい、抑えに抑えても前回の分量を大幅に超えそうだったため、2名とした。

写真は戎橋、反対向けばグリコの看板なので誰も写真を撮らない方。特に関係はない。

なお、本稿は初稿から権利の都合上画像を削除したため、一部齟齬がある可能性がある。また、本当は #つながるホロライブ の内容を入れたかったが我慢した。

 

1. 今日のにじさんじライバー

「おまたせ、待った?」

デビュー日

2019322

御伽原江良→アンジュ(他2名)→三枝明那(1)

 

どんなVTuber

にじさんじ所属公式美少女錬金術師ライバー、百人斬りナイトバタフライことアンジュ・カトリーナ。星街すいせい(ホロライブ)からも「え……(性別)どっち……?」と思われていた[5]ように、中性的な見た目と低い声と無い胸が特徴的。そのような事情もあり、女性ライバーからの人気も高く、NIJISANJI ENRosemi LovelockKR소나기(ソ・ナギ)などは明確に好意を示しているほか、先輩である笹木咲らも好意を向ける。その一方でアンジュが熱烈アプローチをかける魔使マオには逃げられ続けている。

同期であるリゼ・ヘルエスタ、戌亥とことユニット[6]「さんばか」を結成しており、オリジナル曲「3倍!Sun Shine!カーニバル!」をリリースしている。また、下ネタ耐性があるタイプで、「SKB部(アンジュ/鈴鹿詩子/竜胆尊/郡道美玲)」というコラボで特に顕著である。

その他主要なユニット・コンビとしては「アンマオ(アンジュ/魔使マオ)」、「ちぇりーぺぇ(アンジュ/ニュイ・ソシエール)」「乳毛山(アンジュ/ニュイ/葉山舞鈴)」「ベルアン(アンジュ/ベルモンド・バンデラス)」等がある。

 

おすすめエピソード

・成人の日に成人向け漫画を紹介した配信(アンジュ・カトリーナ)

https://youtu.be/76wpZsPp1PU (アンジュ・カトリーナ/本編)

https://twitter.com/Ange_Katrina_/status/1483051781756100610 (アンジュ・カトリーナ/Twitter)

・アンマオてぇてぇ(アンジュ・カトリーナ/魔使マオ)

https://youtu.be/z1TBTkBgmxQ (アンジュ・カトリーナ/本編)

https://youtu.be/Bkqb1OZKTR4 (にじさんじ公式/切り抜き)

・家系図を作る(アンジュ・カトリーナ/ニュイ・ソシエール)

https://youtu.be/wJpBBvZnaeY (アンジュ・カトリーナ/本編)

https://youtu.be/WqHN-tLd1kw (にじさんじ公式/切り抜き)

・ヤンデレナギちゃん(アンジュ・カトリーナ/ソ・ナギ)

https://youtu.be/9Pb-qmgZqYk (アンジュ・カトリーナ/本編)

https://youtu.be/k7o7blzK_hE (にじさんじ切リン抜キ/切り抜き)

・リゼアンWeek(アンジュ・カトリーナ/リゼ・ヘルエスタ)

https://youtube.com/playlist?list=PLziarN-vZTxF1EPB8lnfGXHDXghyccvwD (リゼ・ヘルエスタ/プレイリスト)

 

おすすめ歌ってみた

https://youtu.be/YHXB1xp-xXc (ヴァンパイア/アンジュ・カトリーナ)

https://youtu.be/MMQzaPdTdM8 (ハッピーウェディング前ソング/ちぇりーぺぇ)

https://youtu.be/sfT5PRS3X-Q (しんでしまうとはなさけない!/リゼアン)

 

オリジナル曲ピックアップ

https://youtu.be/6c2-2SfEUQI  3倍!Sun Shine!カーニバル!/さんばか)[7]

 

2. 今日のホロメン

「こんこんきーつね!Hi, friends!

デビュー日

201861

ホロライブ1期生/ホロライブゲーマーズ

 

どんなVTuber

猫じゃないです、狐じゃい!ホロライブ随一のオタク狐。中村悠一氏のオタク。よく限界化している。

名実ともにホロライブの代表格として活躍しており、案件配信も多くこなし、配信を1週間以上停止したことがない[8]。通常の配信はゲーム配信が多く、最近はポケモン、ArkPhasmophobia配信が多い。イラストを描くこともあり、YouTubeのスタンプを自作したり、discord用スタンプをメンバー向けに配布したりもするほか、自身のキャラクター「フブチュン」「ミテイル」「おるやんけ」、大神ミオのキャラクター「ミオチュン」「ハトタウロス」、百鬼あやめの「ぽよ余」などを生み出している。

主要ユニットとしては「フブミオ(白上フブキ/大神ミオ)」「FAMS[9](白上フブキ/百鬼あやめ/大神ミオ/大空スバル)」「バカタレ共(白上フブキ/不知火フレア/角巻わため)」「FOXDEMON(白上フブキ/荒咬オウガ[10])」「夏色吹雪(白上フブキ/夏色まつり)」「すこだワ[11](白上フブキ/宝鐘マリン)」などがある。交友関係は広い[12]が、なかなか心許せる親友を作るのは苦手なよう。大神ミオ、不知火フレア、角巻わための3名とは特に仲が良い。

活動初期は同人音楽サークル「トマト組」の楽曲にボーカルとして多く参加していたが、最近は公式でも単独のオリジナル曲がない。

ちなみに下ネタ耐性はアンジュの真逆である。ただしうんちは可。

 

おすすめエピソード

・金コイ/色違い旅パ(白上フブキ)

https://youtube.com/playlist?list=PL7LdRPp7xCkMXbq7TjBCWrUo34OuZe3Bd (白上フブキ/再生リスト)

・実写カード開封動画(白上フブキ)

https://youtu.be/snrLIr8BGO8 (白上フブキ/本編)

VTuberとしては斬新な実写開封動画。最初はマネージャーに開けてもらっていたが、後に手袋+手元という形になり、このスタイルはホロライブの中で浸透していった。(このような形で実写配信をしたのは赤井はあとの料理動画が先だったかも)

・案件配信の例(白上フブキ)

https://youtu.be/i4QIHZ3pQ8o (白上フブキ/本編)

・バカタレ共(白上フブキ/不知火フレア/角巻わため)

https://youtu.be/T64klY64eEI (白上フブキ/本編)(オーバークック2

https://youtu.be/jzP1_iMfgVY (ホロライブスタジオ/切り抜き)(ARK

https://youtu.be/NKxXPpk_n8w (白上フブキ/本編)Phasmophobia

・ゆっくり白上(白上フブキ/他)

https://youtu.be/y0yB6bXuf1E (ホロライブ公式/ホロぐら)

https://youtu.be/-DSx3i60l3Q (白上フブキ/本編)

・なぞなぞ仮面(白上フブキ/他)

https://youtu.be/DRNbe2QjKys (ホロライブ切り抜きなめたけ/切り抜き)

・月末定期ASMR放送(白上フブキ)

https://youtube.com/playlist?list=PLrrSqRl3asuQ7gYhS-Vgo2iMozK6txD7F (再生リスト)

https://youtube.com/playlist?list=PLrrSqRl3asuThmNA74p6CaGnbon-VinOy (心臓に悪い再生リスト)

 

おすすめ歌ってみた

https://youtu.be/gRr4fDVpw2c (ふゆびより/白上フブキ)

https://youtu.be/HxpsO2WeCNw (アニマル/白上フブキ)

https://youtu.be/R_gGlLTA3VM (StaRt/白上フブキ)

https://youtu.be/-rLmtgLaQZk (すーぱー☆あふぇくしょん/白上フブキ×犬山たまき[13]×ドーラ×東堂コハク×郡道美玲[14])

https://youtu.be/JqTXp9pn3ww (恋の三角海域SOS/バミューダ4[15]

https://youtu.be/49hhGHTKHLs (チューリングラブ/白上フブキ×荒咬オウガ×影山シエン[16])

https://youtu.be/_gNNfj3ZgpI Los!Los!Los!/白上フブキ×黒上フブキ/HoloSings切り抜き)(本編: https://youtu.be/7Vs-5Rwu8ks )

 

オリジナル曲ピックアップ

https://youtu.be/pFgUluV_00s Say! ファンファーレ!/白上フブキ)

https://youtu.be/K84w0Iai40k (百花繚乱花吹雪/白上フブキ×百鬼あやめ×大神ミオ)

https://youtu.be/4Hg0Nchl3HU (おにけもだんす/いろはにほへっとあやふぶみ[17])

https://youtu.be/RrsGNMMghKM (Shiny Smily[18] Story/hololive IDOL PROJECT[19])

https://youtu.be/yGamYxWAdYI ShirakamiFINE!! XFD/白上フブキ×トマト組)

https://youtu.be/pz0wzRp7nic[20] (わくわくエブリデイ/白上フブキ×大神ミオ)



[1] 株式会社UserLocalの調査による。( https://www.userlocal.jp/press/20211019vs/ )

[2] 今後、特に断りのない場合、「にじさんじ」には日本勢のみならず海外勢(NIJISANJI ID/EN/KR/VirtuaReal)を含む。

[3] 今後、特に断りのない場合、「ホロライブ」は女性VTuberグループ「ホロライブ」に限らず、hololive EN/ID、ホロスターズ、及び(4月までは)イノナカミュージックを含む。

[4] https://twitter.com/Ange_Katrina_ プロフィール画像から

[5] https://youtu.be/PdrLDaJ4maM とこまちラジオ(仮)第6回で明らかとなった

[6] にじさんじでは統合後(~期廃止後)、同期デビュー組でユニット名がある(一部例外あり)

[7] アルバム SMASH The PAINT!! 収録

[8] 正確なところまでは調べていないが、少なくとも長期休止や謹慎等はない。

[9] Fubuki Ayame Mio Subaru

[10] ホロスターズ

[11] Radio Stationで放送されている公式番組「ホロライブpresents Vのすこんなオタ活なんだワ!」より。以前はフブマリと呼ばれていた。

[12] ごく最近デビューした6期生を含めても、全く絡みがない現行メンバーはいない。

[13] 犬山たまき:のりプロ

[14] ドーラ・東堂コハク・郡道美玲:にじさんじ

[15] 白上フブキ×レヴィ・エリファ(にじさんじ)×天開司(個人勢)×ガッチマンV(個人勢)

[16] ホロスターズ

[17] 白上フブキ×百鬼あやめ×大神ミオ。百花繚乱~のときはこのユニット名称は存在しなかった

[18] ミスタイプではなく、eが抜けている意味はあるらしいが、その意味は明らかにされていない

[19] hIPはホロライブ内でその時の有志から選抜される。いわゆる「全体曲」扱いであるが、フブキはSSSのレコーディングメンバーに入っているため、ここに入れた。

[20] YouTube Music加入者向けアドレス。その他ストリーミング配信サイトでも配信されているので、YTM以外の方は各自検索して聞いて頂きたい

2022年3月21日月曜日

後見、保佐、補助の権限の違い(+α)

・後見

O 代理権 → 財産に関わる重要な行為を本人に代わって行うことができる

X 同意権 → 代理権がより上位の権限であるため、観念しない

O 取消権 → 被後見人が後見人の同意を得ないで行った法律行為を取り消すことができる(日用品の購入・その他日常生活に関する行為を除く)

後見開始の審判(7条): 請求権者 →「本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官」



・保佐

Δ 代理権 → 家庭裁判所が認めた権限につき、代理権をもつ(→ 家裁が何もしなければ代理権なし) ☆876条の3

O 同意権 → 民法13条1項(末尾に条文引用)財産に関わる重要な法律行為を被保佐人が行う際、同意を必要とする(同意を与えないときは、被保佐人の請求により裁判所が代わりに許可できる、13条2項)

Δ 取消権 → 同意権の範囲内の行為で、同意を得ずにした行為については取り消し可能(13条3項)

保佐開始の審判(11条) : 請求権者 → 「本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官」(後見の請求権者と一緒(当然後見↔保佐は入れ替わっているが))


・補助

Δ  代理権 →  家庭裁判所が認めた権限につき、代理権をもつ(→ 家裁が何もしなければ代理権なし) ☆876条の9

Δ 同意権 → 民法13条1項(末尾に条文引用)財産に関わる重要な法律行為 のうち一部を、「本人の同意を得て(本人の請求でも可、17条2項)」家庭裁判所の審判を経て同意が必要なものとすることができる(17条1項)

Δ 取消権 →同意権の範囲内の行為で、同意を得ずにした行為については取り消し可能(17条4項)

補助開始の審判(15条) : 請求権者 → 本人の請求 OR (本人の同意 AND 配偶者、四親等以内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官)

~代理権 OR 同意権の範囲を定める審判とともにしなければならない(15条3項)


・催告権(20条)

1項 行為能力者となった後、本人に対し1ヶ月以上の期間を定めて追認するか催告できる →確答しなければ「追認した」ものとみなす

2項 制限能力者である間に、法定代理人、保佐人、補助人に対し1項同様の催告ができる→確答しなければ「追認した」ものとみなす

3項 保佐、補助の場合、本人に対し、追認を得るべき旨の催告をすることができる → 追認がない場合は「取り消した」ものとみなす


・詐術(21条)

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、取り消せない



・民法13条1項の行為

~原則として不動産関係、借金、損をする可能性のある行為が列挙されている。注意として「元本の領収」はパット見損にならない気もするが含まれる。不動産と借金はとにかくダメ、と覚えたい。

(保佐人の同意を要する行為等)
第十三条 被保佐人が次に掲げる行為をするには、その保佐人の同意を得なければならない。ただし、第九条ただし書に規定する行為については、この限りでない。
 元本を領収し、又は利用すること。
 借財又は保証をすること。
 不動産その他重要な財産に関する権利の得喪を目的とする行為をすること。
 訴訟行為をすること。
 贈与、和解又は仲裁合意(仲裁法(平成十五年法律第百三十八号)第二条第一項に規定する仲裁合意をいう。)をすること。
 相続の承認若しくは放棄又は遺産の分割をすること。
 贈与の申込みを拒絶し、遺贈を放棄し、負担付贈与の申込みを承諾し、又は負担付遺贈を承認すること。
 新築、改築、増築又は大修繕をすること。
 第六百二条に定める期間を超える賃貸借をすること。
 前各号に掲げる行為を制限行為能力者(未成年者、成年被後見人、被保佐人及び第十七条第一項の審判を受けた被補助人をいう。以下同じ。)の法定代理人としてすること。

2022年3月12日土曜日

刑法各論 構成要件まとめ(随時更新)

おことわり:「若しくは」「又は」等は条文と異なる場合や、本稿内での表記ゆれがある可能性がありますが、その点は修正の予定がありません。また、「『殺し』た」等の表記をすべき場合にも「殺す」「殺した」等の表現をしており、条文引用として不正確な記述を含みます。この点も修正する気はありません。

採用している説が多数説や通説、判例とは限りません(原則判例>通説で採用していますが、答案上有利な説や、個人的に納得している説を採用している場合もあり)。網羅には基本刑法か条解でも読んでください。


・個人的法益に対する罪

ー生命に対する罪

199 殺人罪

保護法益:人の生命

①人を:自然人に限る、刑法では一部露出説を取る(民法と異なる)、胎児は含まない

②殺した:三徴候説(心肺停止、呼吸停止、瞳孔反射の喪失)


202前 自殺関与罪

①人を

②教唆しもしくは幇助して自殺させる

自殺関与罪の正当化、処罰根拠については深入りしない(自殺有罪説が説明しやすいと個人的には思うが)


202後 同意殺人罪

①人を

②その嘱託(=被殺者が殺害を依頼すること)を受けもしくはその承諾(=被殺者が殺害の申込みに同意すること)を得て殺す


212 (自己)堕胎罪

保護法益:胎児の生命+妊婦の生命身体

①妊娠中の女子が

②薬物を用い、またはその他の方法により

③堕胎(=胎児(=受精卵が母体に着床して以後、分娩期まで)を母体内で殺害、あるいは分娩期に先立って母体外へ排出すること(大判M44/Dec./08))した


213 同意堕胎罪/同意堕胎致死傷罪

①女子の嘱託(=女子が胎児の殺害や傷害を依頼すること)を受け、または承諾(=女子が胎児殺害や傷害の申込みに同意すること)を受け

②堕胎させた

(213 同意堕胎致死傷 ③よって女子を死傷させた):胎児の死亡は「堕胎」で表されるので、ここでの致死傷の客体は母体たる「女子」に限る


214 業務上堕胎罪/業務上堕胎致死傷罪

①医師、助産師、薬剤師または医薬品販売業者が

②女子の嘱託(=女子が胎児の殺害や傷害を依頼すること)を受け、または承諾(=女子が胎児殺害や傷害の申込みに同意すること)を受け

③堕胎させた

(214 同意堕胎致死傷 ④よって女子を死傷させた):胎児の死亡は「堕胎」で表されるので、ここでの致死傷の客体は母体たる「女子」に限る


215 不同意堕胎罪 / 216 不同意堕胎致死傷罪

①女子の嘱託(=女子が胎児の殺害や傷害を依頼すること)、または承諾(=女子が胎児殺害や傷害の申込みに同意すること)を「得ないで」

②堕胎させた

(216 ③よって女子を死傷させた)


217 (単純)遺棄罪 / 219 (単純)遺棄致死傷罪

保護法益:人の生命、身体(生命までは危害が及ばない場合を含むかは処罰範囲が広くなることから争いがあるが、傷害罪の後に置かれていること、法定刑が比較的軽いことから身体も含むとする説を採用する)

①老年、幼年、身体障害または疾病のために扶助を必要とする者を

②遺棄(=保護を要する者を保護のない状態に置くことにより、その生命身体を危険に晒す移置をいう:置き去りを含まない)した

(219 ③よって人を死傷させた)


218 保護責任者遺棄罪 / 219 保護責任者遺棄致死傷罪

①老年者、幼年者、身体障害者、または病者を(217/219と明確な差なし)

②保護する責任のある者(=要扶助者の生命身体に対する排他的支配を実質的根拠とし、親子でも法令上の親の監護義務(民820)から即認めることは避ける。救護の引受け等も排他的支配性から説明できる。ひき逃げ等の場合、一般道で普通に人が通るところならば「排他的支配性」が認められないため、救護義務違反にとどまって保護責任者遺棄は成立しない)

③遺棄(=保護を要する者を保護のない状態に置くことにより、その生命身体を危険に晒す移置に加え、置き去りも含む)し、またはその生存に必要な保護をしなかった(=場所的隔離をせずとも、生存に必要な保護をしないこと、間近にいて世話をしないこと)

    →遺棄について整理すると、218/219は「移置、置き去り、不保護」、217/219は「移置」である


ー身体に対する罪

208 暴行罪

保護法益:身体

①暴行(=人の身体に向けられた不法な有形力の行使、非接触の場合傷害の危険を有する行為(日本刀振り回し事例)、接触の場合傷害の危険は不要(:不快嫌悪の情を催させるに足りる行為(cf.塩まき事例)(福高判S46/Oct./11))を加え

②傷害するに至らなかった

~暴行罪に未遂がないことは注意、傷害罪の未遂としても機能することに注意


204 傷害罪 / 205 傷害致死罪

①人の身体を

②傷害(=生理機能傷害、頭髪事例を傷害罪とする完全性侵害説が有力反対説だが、判例上完全性を侵害するが、生理機能を傷害しないものは「暴行」)(=PTSD、長時間の意識障害も傷害結果として足りる)した

(205 ③よって人を死亡させた)

~暴行罪の結果的加重犯、未遂は暴行罪、暴行によらない傷害罪あり(詐称誘導による転落誘発、頻回の無言電話による鬱、奈良騒音事件(1つ1つは暴行とはいえない程度の騒音を出し続け、ついには睡眠障害に陥らせた)、性病の意図的な感染等)

~暴行によらない傷害罪の場合は「傷害の故意」が必要である(暴行罪にあたらないのだから、この場合だけは「暴行の結果的加重犯なので暴行の故意で足りる」が使えない


206 現場助勢罪(あんまりわかってない)

①傷害罪、傷害致死罪の犯罪が行われるにあたり

②現場において

③勢いを助けた


207 同時傷害特例

0 意思連絡なく(共犯との区別)

①2人以上で(=同時、あるいは時間的・場所的連続性ある場合)

②暴行を加えて

③人を傷害(=含:致死 除:殺人等傷害以外の罪)した場合

④それぞれの暴行による傷害の軽重を知ることができず、またはその傷害を生じさせた者を知ることができないとき

~同時犯だが共犯が取れないパターンでは検討必須。疑わしきは被告人の利益に→どちらが傷害結果を生じたか分からないときは2人とも暴行罪までとなってしまうため

~詳細は共犯周りの別ポストに譲る



2022年2月24日木曜日

タコ滑り台判決(知財高裁令和3年12月8日/東京地裁令和3年4月28日)

美術手帖を読んでいたら応用美術について見ておいたほうが良さそうな判決が出ていたので整理してみました。アーティスティックな遊具は割と見かけますが、考えてみれば応用美術としても、建築の著作物としても捉えられるいいテーマなのかも。この機会に考えておきましょ。


「本件は,原告が,被告に対し,原告が製作したタコの形状を模した……滑り台が美術の著作物又は建築の著作物に該当し,被告がタコの形状を模した公園の遊具である滑り台2基を製作した行為が,いずれも,原告が有する同目録記載の滑り台に係る著作権(複製権又は翻案権)を侵害すると主張して,主位的に,著作権侵害の不法行為に基づき,……支払を,予備的に,不当利得に基づき,……支払を,それぞれ求める事案である。(太字、下線、中略筆者。以下同様。)」(以下、高裁の判断セクションまでは地裁判決より引用)

原告の製作する「タコの滑り台」は「基本的に,上部にタコの頭部を模した部分を備えている,その中は空洞となっていて,当該部分の下部の踊り場から複数のタコの足が延びている,タコの足は,主にスライダー(滑り台のうち,利用者が滑り降りる部分をいう。)となっており,滑り台の利用者は,いずれかのスライダーを選んで滑り降りることができるといった構造を有している。なお,タコの足が階段をなしているものもある。」

<原告の主張>

この「タコの滑り台」は「抽象形態の中に,空洞部等の神秘的な空間を設け,さらに頭部を付加して,抽象性と具体性を内包した彫刻として,子どもたちに形の美しさ,不思議さ,楽しさ等を体感してもらうために創作されたものであって,Bが,彫刻家としての思想,感情を創作的に表現したものである。」(Bは原告の前身となる会社に勤務していた彫刻家)

その他、原告は「タコの滑り台」について大変熱く語っているが、その部分は判例を参照いただきたいが、とにかく滑り台であること以上に独創的な芸術品であると語っている。それを踏まえた上で、著作権法的に重要な部分は以下の通り。

①(美術の著作物)本件原告滑り台が応用美術に属するものであるとしても,一品製作品というべきものであり,「美術工芸品」(著作権法2条2項)に当たるから,「美術の著作物」(同法10条1項4号)に含まれる。

②(美術の著作物)本件原告滑り台が「美術工芸品」に当たらないとしても,「美術工芸品」以外の応用美術が「美術の著作物」に該当するか否かの判断基準として,「美的」という観点から高い創作性を必要とすると解するのは相当ではなく,個別具体的に,作成者の個性が発揮されているか否かを基準として判断するべきである。(本件滑り台においては、滑り台としての最低限の機能を果たす階段とスライダーがあれば足りるのであって、そのスライダーの形状がタコの足の形をしているとか、頭部にあたる空洞が存在するとか、必然的とはいえない部分が存在するので、独立して創造的な部分があるとする)

③(美術の著作物)純粋美術同視説をとるとしても、原告「タコの滑り台」は前述のように創作性の程度が非常に高いため、「純粋美術と同視し得る程度の美的創作性を具備していると評価される」。

④(建築の著作物)「本件原告滑り台のような彫刻としての性質を有する遊具の著作物性については,客観的,外形的に見て,それが滑り台において通常加味される程度の美的創作性を上回り,滑り台としての実用性や機能性とは別に,独立して美的鑑賞の対象となり,彫刻家・設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるような造形芸術としての美術性を備えているか否かという基準により,判断すべき」

「本件原告滑り台は,滑り台の機能とは独立した形態的特徴を有しており,通常,滑り台に施される美的創作性と比べて,はるかに美的創作性の程度が高い。したがって,本件原告滑り台それ自体がモニュメント彫刻として美的鑑賞の対象となり,設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるような造形美術としての美術性を備えている」

 

<被告の主張>

(建築の著作物)「原告が主張する判断枠組みを前提にしても,前記ア(被告の主張)のとおり,本件原告滑り台の機能ないし特徴は,多人数が同時に遊べ,スライダーを複数有しており,頭部に隠れて遊ぶことができる空間があるといった点にあり,本件原告滑り台は,こうした遊具としての実用性や機能性とは別に,独立して美的鑑賞の対象となり得るとは考えられないし,設計者の思想又は感情といった文化的精神性を感得せしめるような造形芸術としての美術性を備えたものとはいえない」

 

<その他>

複製権侵害や翻案権侵害、著作権譲渡、職務著作といった論点でも争っているが、そもそも本件滑り台が著作物であるかがその大前提となっており、本判例において注目すべき点であるため、省略する。

 

<東京地裁の判断(東京地裁R3/Apr./28)

①(美術の著作物)「(遊具である滑り台として通常有する構造を備えている)本件原告滑り台は,利用者が滑り台として遊ぶなど,公園に設置され,遊具として用いられることを前提に製作されたものであると認められる。したがって,本件原告滑り台は,一般的な芸術作品等と同様の展示等を目的とするものではなく,遊具としての実用に供されることを目的とするもの……」

「実用に供され,あるいは産業上利用されることが予定されている美的創作物(いわゆる応用美術)が,著作権法2条1項1号の「美術」「の範囲に属するもの」として著作物性を有するかについて……応用美術と同様に実用に供されるという性質を有する印刷用書体に関し,それ自体が美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えることを要件の一つとして挙げた上で,同法2条1項1号の著作物に該当し得るとした最高裁判決(最高裁平成10年(受)第332号同12年9月7日第一小法廷判決・民集54巻7号2481頁)の判示に照らし,同条2項は,単なる例示規定と解すべき……同判決が,実用的機能の観点から見た美しさがあれば足りるとすると,文化の発展に寄与しようとする著作権法の目的に反することになる旨説示していることに照らせば,応用美術のうち,「美術工芸品」以外のものであっても,実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えている部分を把握できるものについては,「美術」「の範囲に属するもの」(同法2条1項1号)である「美術の著作物」(同法10条1項4号)として,保護され得ると解するのが相当」

「(美術工芸品であるとの原告主張に対して)本件原告滑り台は,自治体の発注に基づき,遊具として製作されたものであり,主として,遊具として利用者である子どもたちに遊びの場を提供するという目的を有する物品であって,「絵画,版画,彫刻」のように主として鑑賞を目的とするものであるとまでは認められない」

「(応用美術として保護されるとの原告主張に対して)実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,美術鑑賞の対象となり得る美的特性を備えている部分を把握できるものであるか否かについて,……(タコの頭部について)本件原告滑り台の中でも最も高い箇所に設置されているのであるから,同部分に設置された上記各開口部は,滑り降りるためのスライダー等を同部分に接続するために不可欠な構造であって,滑り台としての実用目的に必要な構成そのものであるといえる。また,上記空洞は,同部分に上った利用者が,上記各開口部及びスライダーに移動するために不可欠な構造である上,開口部を除く周囲が囲まれた構造であることによって,最も高い箇所にある踊り場様の床から利用者が落下することを防止する機能を有するといえるし,それのみならず,周囲が囲まれているという構造を利用して,隠れん坊の要領で遊ぶことなどを可能にしているとも考えられる。そうすると,本件原告滑り台のうち,タコの頭部を模した部分は,総じて,滑り台の遊具としての利用と強く結びついているものというべきであるから,実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,美的鑑賞の対象となり得る美的特性を備えている部分を把握できるものとは認められない。」

以下、足部分や全体の形状について分離して美術鑑賞の対象となりうる美的特性を備えているとまではいえないから、応用美術とは言えないことを細かく認定している。

なお、原告が言う、滑り台としての最低限の機能を超えた独創的な部分は必然的な表現ではない(から、滑り台の機能から独立して存在する美的特徴がある)という主張に対しては「ある製作物が「美術の著作物」たる応用美術に該当するか否かに当たって考慮すべき実用目的及び機能は,当該製作物が現に実用に供されている具体的な用途を前提として把握すべきであって,製作物の種類により形式的にその目的及び機能を把握するべきではない」

「また、原告の上記主張は……著作物性(著作権法2条1項1号)の要件のうち,「思想又は感情を創作的に表現したもの」との要件に係るものであって,「美術」「の範囲に属するもの」との要件に係るものではない」

②(建築の著作物)「著作権法においては……「建築」についての定義は置かれていない……(建築基準法等から解釈すると)土地に定着する工作物のうち,屋根及び柱若しくは壁を有するもの……本件原告滑り台も,屋根及び柱又は壁を有するものに類する構造のものと認めることができ,かつ,これが著作権法上の「建築」に含まれるとしても,文化の発展に寄与するという目的と齟齬するものではないといえる。そうすると,本件原告滑り台は同法上の「建築」に該当すると解することができる。」

「「建築」に該当するとしても,その「建築の著作物」(著作権法10条1項5号)としての著作物性については,「文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するもの」(同法2条1項1号)か否か,すなわち,同法で保護され得る建築美術であるか否かを検討する必要がある。具体的には,「建築の著作物」が,実用に供されることが予定されている創作物であり,その中には美的な要素を有するものも存在するという点で,応用美術に類する……その著作物性の判断は……(①と同様の基準が相当)」

 

<控訴審の判断(知財高裁R3/Dec./8)>

①(美術の著作物)「応用美術には,一品製作の美術工芸品と量産される量産品が含まれるところ,著作権法は,同法にいう「美術の著作物」には,美術工芸品を含むものとする(同法2条2項)と定めているが,美術工芸品以外の応用美術については特段の規定は存在しない。上記同条1項1号の著作物の定義規定に鑑みれば,美的鑑賞の対象となり得るものであって,思想又は感情を創作的に表現したものであれば,美術の著作物に含まれると解するのが自然であるから,同条2項は,美術工芸品が美術の著作物として保護されることを例示した規定であると解される。他方で,応用美術のうち,美術工芸品以外の量産品について,美的鑑賞の対象となり得るというだけで一律に美術の著作物として保護されることになると,実用的な物品の機能を実現するために必要な形状等の構成についても著作権で保護されることになり,当該物品の形状等の利用を過度に制約し,将来の創作活動を阻害することになって,妥当でない。もっとも,このような物品の形状等であっても,視覚を通じて美感を起こさせるものについては,意匠として意匠法によって保護されることが否定されるものではない。これらを踏まえると,応用美術のうち,美術工芸品以外のものであっても,実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して,美的鑑賞の対象となり得る美的特性である創作的表現を備えている部分を把握できるものについては,当該部分を含む作品全体が美術の著作物として,保護され得ると解するのが相当」

「(タコの頭部について)本件原告滑り台のタコの頭部を模した部分のうち,上記天蓋部分については,滑り台としての実用目的を達成するために必要な機能に係る構成と分離して把握できるものであるといえる」(←地裁と異なる認定をしているが)「(天蓋部分は)頭頂部から後部に向かってやや傾いた略半球状であり,タコの頭部をも連想させるものではあるが,その形状自体は単純なものであり,タコの頭部の形状としても,ありふれたものである。したがって,上記天蓋部分は,美的特性である創作的表現を備えているものとは認められない」