2022年4月18日月曜日

会社法論述まとめ(簡易版・独立記事にするほどでもない子たち)【随時更新】

 ・譲渡制限株式を承認なく譲渡した場合:最判48/06/15

非公開会社における株式の譲渡制限の目的は「閉鎖的な会社である非公開会社にとって、会社にとって好ましくない者が株主となることを避ける」というものである。一方で、株式は財産的価値としても把握され、(暇なら書く→かつ会137条1項、138条第2号は譲受人から会社に対して承認請求をするという設計になっている以上)当事者間では譲渡を有効とし、会社との関係で無効とする相対的無効説に立つべきである。

このことから、会社は譲受人を株主として扱えば足りる。


・自己株式取得の財源規制

自己株式の有償取得は、実質的に株主に対する払戻しとなるため、分配可能額(

461-2)を超えてはならないという財源規制がある(461-1-1~7/166-1但/170-5)。

→違反した場合

・財産的な話

会社財産の確保、及び財源規制という法令に違反することから、830-2の対象ともなっており、無効である。また、譲渡人は会社に対して不当利得返還義務(民703/704)を負う。

なお、無効の効果として会社は譲渡人に株式を返還する義務を負うが、既に処分してしまっている場合など、返還不能な場合は時価相当額を返還することになり、逆に会社にとって不利益となる可能性もある。よって、この場合の不当利得の「利得」を売却代金と考え、仮に高騰した場合でも値上がり分を返還する必要はないとすることで、会社の不利益を回避する。また、譲渡人が持つ会社に対する返還請求権との同時履行(民533類)の主張が考えられるが、これについては同時履行の抗弁権を排除する特別規定であるとする。

・責任的な話


・仮想払込\預合

帳簿上、払込取扱銀行が発起人に金銭を貸付け、設立中の会社の預金とするものの、弁済完了までその預金を引き出さないことを約するもの。現実に会社財産が増加するのではなく、会社債権者や他の引受人の保護の観点から、この払込は無効である(通説)。

965で刑事罰が課されており、条文番号的にはとっ離れているので注意。

・仮想払込\見せ金

第三者が発起人に金銭を貸付け、株式の払込みに充て、成立後に発起人が会社から貸付けを受け、第三者に弁済するもの。こちらは明文で否定されておらず、効力が問題となる。実質的に考えると、仮想払込というものは会社設立にあたって資本金とすべく払い込まれた金銭の実体が無く、会社債権者や他の引受人の保護に欠けるため、問題となるのであったから、会社財産の基礎を危うくさせるようなもののみ特に無効とし、それ以外は有効とするのが理にかなっている。

よって、会社成立後、借入金を返済するまでの期間の長短、払戻金が会社資金として運用された事実の有無、借入金の返済が会社の資金関係に及ぼす影響の有無等を基礎として、総合的に判断すべきである。

・仮想払込の責任関係

見せ金をした発起人・引受人→仮想した金額を会社に支払う義務52の2-1(発起人)、102の2-1/102-3(引受人)、任務懈怠責任53(発起人)

関与発起人→仮想払込み者と同じ(無過失面積52の2-2/103-2)

金銭取得の取締役の責任→任務懈怠責任423/429+推定423-3-1


・設立中の会社

設立登記によって成立する(49)以上、設立登記前は権利義務の主体となり得ないのではないか。この点、現実的には設立登記以前に社団を形成したり、法人格を取得したり、事務所予定地の賃貸借等設立に必要な行為をしたりといった行為の主体となることが求められる。よって、成立後の会社に帰属させるべくしてこれらの行為の主体として、成立後の会社と実質的に同一な「設立中の会社」という概念を導入する必要がある。

~設立中の会社は上記の目的を達すべく特に認めるものであるから、その発起人の権限にも自ずから限界が存在する。

①会社の形成・設立それ自体を目的とする、定款作成や創立総会の招集→当然認められる

②会社の設立にとって法律上、経済上必要な、事務所の賃借や事務員の雇用→定款で認められた設立費用の範囲内で認められる。設立費用の範囲外についてまで認めると、設立中の会社が一旦建て替えた上で発起人に求償する必要に迫られる。また、一切認めないとすると逆に発起人が全額立て替えて会社成立後に求償することとなる。もっとも、現実的な要請として設立にかかる一定の支払いが生じることは当然であるから、設立費用を観念し、その範囲では発起人に利用権限を与えるべきである。(→設立費用を超えてしまった場合、どの支払いが「認められない」支払いであるか問題となるが、この点時系列的に超えた時点は判明するはずであるから、それによって判断すれば足りる。(相手方の予測可能性は害していると思われるが、突っ込むと泥沼なので書かない。)

~財産引受け、設立後の広告の契約、商品の契約等

28-x-2によって定款にない財産引受けは無効となる。よって、設立中の会社が第三者と契約したが、定款の範囲外であった場合は無効となり、発起人に無権代理類推(民117類)を追求する(理論上はね)。

なお、財産引受け以外については財産引受けの規定を類推適用する説と、無関係にとにかく無効であるとする説があるが、正直どっちでもいい。とにかく定款にない財産引受け、設立に必要ではない行為がなされた場合は書いとけばいい。



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