・因果関係
甲が致死量の毒薬をVに飲ませる→事情を知らない乙がV死亡前に刺殺(即死)→甲が毒を盛った行為とV死亡の間には因果関係が「断絶される」
米兵ひき逃げ事件(甲が通行人を車で跳ね上げ、同乗者乙が屋根から突き落として転落、Vは衝突か転落か、どちらが原因か不明なくも膜下出血で死亡した)では、甲の衝突とV死亡には因果関係が「ない」
甲がVの求めに応じて覚醒剤をVに注射。甲は錯乱したVを放置して帰宅したところ、Vは覚醒剤中毒で死亡した。この場合に因果関係を肯定する要件:甲帰宅前に適切な治療を受けさせていれば「救命が合理的な疑いを超える程度に確実」←具体的には「十中八九救命可能」であること
被害者逃走事例:逃走して危険な場所に飛び込んだ結果死亡した場合、その逃走の原因となった暴行、恐怖感等から逃走の方法として「著しく不自然、不相当であった」といえる場合のみ因果関係を断絶する。(cf.高速道路侵入事件:長時間、執拗な暴行を受け、被告人らに対し極度の恐怖感を抱き、必死に逃走を図る過程でとっさにその……選択をした……→因果関係肯定)
熊撃ち事件:甲はVを熊と誤認して猟銃を発射、命中させ、放置すれば死に至る重症を負わせる。その後人間だと気づき、あえてもう一発命中させ死期を早めようと考え、銃殺した。→2発目の発射行為とV死亡の間に因果関係が「ある」。なお、第一発射には第二発射を殺人罪と取る前提で、業務上過失致傷罪を成立させる。
・不作為犯
不真正不作為犯の因果関係肯定には、期待された作為をしていれば結果が発生しなかったことが「合理的疑いを超える程度に確実」であったことが必要(因果関係\覚醒剤事件)
不作為の放火罪成立には「既発の火力による焼損を認容する意思」(×既発の火力を「利用する」意思)があれば足りる(炭火引火事件)
財産犯の不真正不作為犯はありまぁす(誤振込に気づいたものの、申告せず払い戻した行為について、不作為詐欺罪が成立する)
死体遺棄罪の不真正不作為犯もありまぁす(葬祭をする責務を負うものが死体を放置して立ち去る行為)
盗品等有償譲受罪は、盗品等である「かも知れない」と思いながら買うことで未必の故意を認定する。この認定は譲受時点で判断するため、後から盗品ではないと確信しても関係ない。
・被害者の同意
被害者の承諾がない状態で、承諾があると誤認して殺害した甲には、199が成立するものの、同意殺人罪の故意しかない。この場合、抽象的事実の錯誤となり、両罪の構成要件が実質的に重なり合う限度で軽い罪が成立する。両罪とも保護法益は人の生命身体である、侵害も生命に対する侵害という点で一致しているため、軽い同意殺人罪の限度で成立する。
追死の意思がないにもかかわらず、欺罔して追死すると誤信させ、Vを自殺させた場合、Vの同意は真意に沿わない重大な瑕疵があり無効であるため、同意のない殺人罪、すなわち199となる
特別公務員暴行陵虐罪の保護法益は公務の適正という国家法益であるため、被害者(というのが適切かわからないが、暴行の相手方)の承諾の有無に関わらず成立する。
・正当防衛
正当防衛に対する正当防衛は成立しない(急迫「不正」の侵害にあたらないため)
正当防衛として許される限度は、自己又は他人の権利を防衛する手段として必要最小限度のものである。すなわち、たまたま侵害行為の程度を反撃が超えたとしても、直ちに正当防衛を否定するものではない。
・責任能力、責任故意
心神耗弱/喪失→必要的減免(39-2)
心神喪失→精神の障害により+(事物の是非善悪を弁識する能力がない OR その弁識に従って行動する能力がない)
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